思い改め

新たなり釣り風景

 


うまい白身魚は今どこに・・・と思いつつ、潮表といわれる

カッポレポイント、フルミナミを目指す。

危険含みだが釣果としては安全パイと化した、

普段からサラシ(白い泡)が広がる切り立った東海岸も

波が立たないほどに、とても穏やかな海となったのである。

 

こんなときはジタバタしても無駄だが、モズ博士Tと軍団たちには

お世話になりっぱなしだから、恩返しせねば長男の名がすたる。

 

唯一の望み、潮表(しおおもて)とは、黒潮から遠く離れた大東で

潮の満ち引きとは別に潮流が一定の方向で流れて来る方向だ。

今は南西方向からあたっているとの情報があった。

 

が・・・その潮流も非常に流れが遅く、たるんでいる。

こういうときは漁師さんでも苦戦しており、

深海魚以外は、すっかり水揚げが落ちているという。

水温は21度から24度と変化が激しいようだが

なおさら表層の魚からやる気を削いでしまう。

 

そんなこといったって・・・釣らねばならない。

フルミナミは潮表であると同時にカッポレポイントだ。

沖合いからドロップオフなしになだらかな傾斜が続く場所が

ほんの少しだけ顔を出している磯である。

島のほかの場所では、必ずドロップオフで切られるので

100m以上の沖合いへのアプローチが唯一できるポイントなのだ。

(と、思う)

 

100グラムのジグ(オモリでできたルアー)が

着底まで30秒近くかかり、遠く深い探りが入れられる。

今度持ち込んだルアーは、昨年やそれ以前のとは

まったく違うラインナップにしてあった。

 

こういう厳しい状況に陥ることも織り込み済みであって

そういうときこそ、これまでの手法では、だめだろうと想定した。

代表的なのが、タコベイト(タコ型のソフトなルアー)である。

漁師の間でも、あるいは海外の鮭釣りでも使われている

やわらかいルアーのベストセラーだ。

 

加えて、

インチクという漁師の使う、泳ぐオモリの頭を着けて

正に漁師仕掛けを使ってみようと思ったのだ。

といっても、オモリ一個に多少工夫しただけで1,200円は暴利だ。

テストでなければ買ってこなかっただろう。

 

まずは、ジグにタコベイトを着けた、ながーいルアーを投入する。

イカ風味のルアーを好むのはカジキから、ヒラマサ、マダイまで

様々なので、必ず何かが食ってくると思ったのである。

 

これまで、長いルアーでも頭を食うことがほとんどであった。

先日、地球は2度も救ったが、戻ってこなかったジグを想って

尻尾のタコベイトから針を外していたところが、ゴツンという手応えと共に

タコベイトだけがきれいに無くなってしまった。

 

タコベイトを使うとき、

ルアーを速く引いたものか、ゆっくり引いたものか・・・

かいもく見当がつかないので、いろんなスピードを試したが、

わりとゆっくりとしたシャクリで食ってきた。

 

イカが少し慌てる風というか、エビがスイっと逃げるというか

反射的に食べたくなりそうな、実に抽象的なイメージで

アクションさせてみたのであった。

 

次の日

今度こそタコベイトにはしっかりと針を仕込んである

タコベイト専用とも言える仕掛け、インチクを投げてみる。

2回にわけて竿を水平から頭の上まで、すいっすいっとシャクリ、

その後、竿を水平に戻すときにゆっくりリールを巻き取る、を

繰り返してみた。

 

すると・・・何かが食った!

 

クククン、クククンっと小気味よい手ごたえが投げ竿に伝わってくる。

ジグやインチクはオモリなので、ルアー竿よりも投げ竿が向いていて

反発力が強いので、曲がった竿を支えていれば魚が浮いてくる。

案の定、手前のせり出したリーフにもぐりこんで

一度は切られるかと思ったが、それも織り込み済み。

ハイテクラインの先には、漁師用の安いナイロンの12号、18号が

リーフと対決するときを待っていたのだ。

 

魚が小さいようなので、待っていれば自然に出てくる。

すぐに糸は外れて、浮かんできたのはカッポレ!小さいがカッポレだ!

かつては20キロを超えたものも居たというが、今は幻である。

 

狙って釣れるポイントは、正直ココしか知らぬ。

 

モズ博士Tならば、磯際を丹念に探って釣ってしまうが、長男には無理。

この深場だけがカッポレ専門のポイントとなっていた。

ここでもう一匹と思って、小さいメッキサイズながらキープ。

モズ博士Tの客人、H岡氏が来ていることもあった。

 

まーしかし、インチクって本当に釣れるんだなぁ・・・

文字通り激しくインチキモンなのだが。

そういえば、一般的に銀色のヒラアジの子供をメッキと称するけれど

こいつはぜんぜん光らない・・・メッキじゃないよなぁ・・・

何と呼んだら良いのだろう・・・と、どうでも良いのに悩んでみたりした。

 

そのまま同じルアーを使うのは芸がない、気分転換が必要だ。

タコベイトだけをとられた115グラムの長いジグを使うことに。

3投くらいしてまたヒット!

無事、カッポレ2匹がそろい、人口増大気味の研究者軍団にも

十分いきわたる量のお刺身食材を得られた。

もちろん、釣れたお魚さんには、両手を合わせて感謝のお祈り。

 

地元の農家、A沼さんの手により、美味い刺身となったのであった。

その日のうちに食べられるのが、小さいお魚の良いところ。

内地では比べるもののない、臭いがなく、うまみの強いすっきり味。

カッポレを踊りたくなる気分にひたるには、やはりこの魚。

 

一方、今度は宿の方からプレッシャーが・・・

そろそろガーラが切れるから、釣ってこないといけないさ、と。

うーむそげんこつ、海は凪いぢょるし、潮も動いとらんトです。

 

漁場である、実釣場(みのつりば)はヒラアジの大型は出るけども

他の魚種は期待薄なので、やっぱりカッポレ狙いでフルミナミへ。

 

風向きが変わり、雨も近づいて、小雨がぱらついてきた夕刻。

風波がたち、ざわめいた海はイケソウな予感。

いきなりインチク勝負にでてしまう。

 

しばらく投げたら、ココンとヒット!

 

やった!またカッポレだ、ぼーずじゃないぞ!と思ってやりとりし

ちょっと大きいのか、手前の岩棚にかなり強い突っ込みを繰り返す。

手前に沈んでいる岩棚の下へ入るものの、糸を張ったまま

放っておくと沖に戻ろうとするのか、自然に出てくるので安心。

すかさず一気に糸を巻き取っていくと・・・赤い!

アカナだ!白身だ!高級魚だ!

慌てて丁寧に取り込みに入る・・・といっても、リーフにちょうど波がかぶり

数センチの浅瀬が広がっているので、波にまかせてそのまま陸揚げ。

おー、そこそこの大きさだ。

小さいが、まるまる太っている。

48センチ、2キロ強。食べごろサイズよりやや小ぶりだが

最終日でもあり、今夕食べるにはちょうど良いサイズである。

しかも、宿のご家族にも分け前がしっかり取れる。

これ以上大きいと、身が硬すぎて本日向きではない。

 

もう一匹狙ってみるが、意外に群ではないのか当たらず。

(おそらく、記念撮影が長いせいもあるだろう・・・)

 

と・・・回収にかかったルアーにコココンと当たりが・・・?

水面近くだったこともあって、リール一巻きで即回収。

大東に来てすぐに釣れた懐かしい魚、イシフエダイの小さいのだった。

さっぱりして、揚げ物には美味しいので、小さくてもオカズ用にキープ。

貪欲で、真っ先に釣られてしまう魚なので、めっきり釣れなくなった。

 

雨雲が接近しているので、早めに切り上げることに。

前に宿の館長からもらった、ホニャネコメール袋が役立つ時が来た。

しかも今回は、バイクも新しくなり、買い物袋を掛けるフックも装備!

便利、便利だ・・・大東も便利になったもんだなぁ・・・

 

宿に戻ると、早速今夜のオカズに料理してもらう。

アカナことバラフエダイは久しぶりだ。白身と脂のりのいい魚で格別だ。

他の島では毒魚なので食べられないが大東では食べられる。

 

生態系の中で、シガテラ毒を持つものが居るかどうかがカギとなる。

日本の隔絶された海洋島では、シガテラ毒を持つ動物か

あるいは藻類が繁殖しないようで、小笠原も食べられるようだ。

 

早速、食味についてだが

刺身をしょうゆにつけると、ふわっと脂が広がる。

おー、脂の乗りもいい。

硬直した直後なのでちょっとゴム質なのは仕方がないが、

にしてもさすが白身、すっきり美味い。

 

この魚、火を通すとなお美味い。

マース煮(沖縄の一般的煮付け、塩煮)はシコシコの身に

トロトロの皮がたまらない。

全くクセがないので、しょうゆで煮るよりマース煮の方が向いている。

このゼラチン質のとろりとした厚皮とコシと旨味の深い魚種は貴重。

 

M清さん(元社長)がやってきて、

一回り小さいね、10キロくらいのがちょうどいいからね、と鋭い突っ込み。

アカナよりはるかに突っ込みが激しい・・・というか10キロ級の突っ込みと

同じくらいパンチのある突っ込み・・・である。

煮込み具合以上にハードボイルドと言ってもいい。

当然彼の頭は事実パンチ(パーマ)があたっている。

 

ちなみに

バラフエダイは根魚でもないのに、仕掛けを食うと海底の岩場に一目散。

すさまじい執念と地力で岩場へ突っ込む。

引きずり出しては潜り、また引きずり出すを繰り返し、

仕掛けはボロボロになるのだ。だが普段は群で回遊している。

 

一方

休みに合わせて用意してもらっていたものがあった。

新品バイクである。

キックボクサー館長が満を持して用意してくれた。

 

限りなく大切な最初の1キロ・・・を記録しておいた。

ともあれ

この魚に匹敵する味を持つ魚は、内地において一魚種、フエダイくらいだ。

フエダイ科の代表、フエダイである。鹿児島ではシブダイといい人気の魚。

だが、誰もが美味しいという北にはフエダイは居らず、関西より南に居る。

これほど濃厚な味の白身魚はなかなかない。

北海道の巨大なソイがそれに相当するかもしれないが、バラフエダイの

トロトロの皮の美味さがあるかは微妙だ。

大東では脂が乗るのでアブラダイとの異名を持つ。

フエダイは根魚により近く、ヒトキワ鋭い突っ込みだが

成長しても4、5キロどまりであるのが内地風である。

 

今回、久々に4mの投げ竿で釣りをしたが、とても快適だった。

カメラの5キロに比べたら、竿など軽いものである。

以前は多少重さを感じたが、今回はほとんどない。

思いカバンを通勤に使ってみた効果だろうか???

 

難をいえば、115グラムのルアーを投げるとき、ややパワー負けしていた。

25号の投げ竿の耐力は計算すると102グラム弱・・・仕方ない。

インチクは100グラム内外なのでちょうど良い感じだ。

しかも、オモリにタコベイトが着いただけなので、すさまじい飛距離が出る。

更に、着底してもタコベイトは上を向いているので根掛かりしてしまい

地球の平和を危機にさらすことはない。

すばらしい!

 

多少思ったのは、

わざわざ高価なインチクだのジグだのをトレーラーに使わず

安いオモリとタコベイトだけで十分なのではないか・・・と思う。

これなら二百円くらいでひとつの仕掛けが作れる。

多少アクションが必要ならば、オモリを叩いたり削ったりして

加工してやればいい。

そのくらいインチキな代物で釣れるのならば、漁も楽である。

昔は漁というと語弊を感じたが、今は逆になった。

食べるために必要なだけ釣るのだから、漁である。

条件さえそろえば、ほぼ確実に魚が掛かるポイントは

今年から漁場と呼ぶことにした。

その代表が、例の17キロを昨年揚げた実釣場(みのつりば)だ。

 

今回のことでフルミナミも、多少漁場化しそうであるが

まだまだ必ず・・・とはいきそうになく、始まったばかりである。

 

秘密にしていたが、フルミナミは、波打つリーフの上で釣るので

濡れることを前提に赴かねばならぬ。

ってことで

こんな恥ずかしい系のイデタチで出かけるのだ。

慶応大とユニクロで開発された汗もすぐに乾燥する

特殊な繊維でできた、筋肉をサポートする機能をもった

かなり強い張りのあるトレーニングウェアなのだが

アダンだの磯だのと、とがったものには弱いようである。

竿が当たる太ももの縫製まで簡単にホツれる始末・・・

 

弱いぜ、やっぱし・・・

 

本当は真っ白の上下が落水したときに目立つので良かろうと、

不人気商品の値下がりを待ってたら、品物がなくなってしまった・・・

まあ、赤土で染まるととれないので、暗い色が良いのは確かだ。

 

濡れることを前提に磯に立てるのは嬉しい限りだが

まだちょっと丈夫さが足りないようであった。

この強度では走り高跳びでも、マットに落ちただけでホツれるだろう。

(長男は過去、瞬発力だけで高飛び選手だったことがある)

やっぱしユニクロだけに。

 

ルアーからコスチュームまで、

いろいろ恥ずかしいモノを揃えてみたが

案外使えてしまったのには、多少驚きである。

 

内地は案外悪天候だったようだが、南大東はそれほどでもなく

ラッキーだったようである。

台風長男も、気候変動で体質変化したか?

あとは撮影が残るのみ。

 

次回はそっちのネタで。


【南大東で仕入れた、役立つ豆知識】


●パパイヤを野菜として食べるには

青いうちにパパイヤを野菜のように利用できるとのこと。

実を取ると、白い液がでますが、これに触るとかゆくなるので

触らないようにします。またこの白い液がアクでもあります。

収穫した実の表面にたくさんの傷を入れて、白い液を出させます。

少し硬いので、きゅうりの千切り風に細かくすいて、氷水にさらし

その後は冷凍すれば半年は利用でき、そのまま炒めたり

味噌煮にも利用できるとのこと。

徳之島にもたくさんのパパイヤが自生してるので

この食べ方を普及させれば、何も熟すのを待つ必要もありません。

地獄の大量パパイヤデザートに苦しむ長男にも光明が・・・

 

●マグロの血合いの南蛮漬け

何十キロにもなるマグロの血合いはとかく捨てられがち。

しかし、栄養価も高く、捨てるのはもったいないのですが

なにしろ血が多すぎて臭いが強いようです。

そこで、2、3度水洗いして絞ると、かなりの血液が抜けて

白っぽくなります。

それをから揚げにし、たまねぎなどと一緒に南蛮漬けに。

すると、鯨の肉のようなコクのある肉質になり、

美味しいおかずに変身!

多分、都会の魚屋さんでも、頼めば簡単にもらえるはず。

ちょっとヤオチュースーパーでお願いしてみようかと。

奥深いなあ、料理とは、味わいとは。


ではまた