暗いところ好きの

ほの明かり

 


我が家の夜

一番明るい光がともる場所は風呂である。

意味不明、コンセプト無用のリフォームを終えた大家さんが

多分良心でつけてくれた、12ワット蛍光球(電球型蛍光灯)は

40ワット球並みで強力だ。

幸い、都会のニーズをとらえてか、電球色で助かった。

玄関は青白色のチープな蛍光球で、見やすいが寒々しい。

 

茶の間の明かりですら8ワット蛍光球だったので

ひときわ明るい風呂と、その広さ(2畳)に驚かされたものだ。

もっと驚いたのは、追い炊きできない給湯器だった事なのだが。

 

クリスマスも近づき、このごろ鮮やかなLED明かりがはやっている。

夏も暑くなく、でも寒々しい色ではない暖色LED明かりは

今や長男の夜には欠かせない。

 

照明じゃなくて明かりなのは、それが読書などには足らず

ただ、部屋の在りようが分かれば足りる程度で十分だから。

 

やむなくずっと使ってきたのは、神妙な心持になるロウソク型。

単四電池二本で、思ったより明るいもので、お仏壇用なのか

二本セットをともすと4畳半なら、この灯明でなんとかなるくらい。

 

最初は仏壇用だから嫌だなぁ、などと思っていたが

最近は慣れてしまった。

しかも、頭(炎の部分)をポンと押すとともるので

とっても便利なのだ。

100円ショップで買った、厚手で手作り風のグラスに

コロンと二本を入れて使うと、なんとなくそれはそれでイケた。

 

小さいころ、祖父母宅にあったお仏壇の

電球式ろうそくの味気なさを味わっただけに

灯明(とうみょう)のようなゆらぎが恋しかった。

 

で、多少高価だが、グッドデザインにも登場したようだけども

スッキリを通り越し、まことに味気ない形のも試してみた。

単四電池一本で暗すぎるのが残念な上

大好きなAMラジオを近づけると、CPUで制御しているのか

強烈なノイズが出ている。

揺らぎを作るのに、結構なロジック回路を使っているようだ。

でも、オレンジの柔らかな明かりの揺らぎはさすがに心地いい。

小さな穴に息を吹きかけると、ゆらぎが強くなったり

一瞬消えたりする細かな芸当は、まったく無駄にすごい。

最初の数回は、どのくらい強く吹くと消えるかやってみるが

飽きたら二度とやらない。

何百本も屋外に置いて、風にゆらめく様も見てみたい気もするが

何百万かかるやら。

何百本も充電するのも、よくよく大変だ。

 

専用の照れ恥ずかしいマッチ型磁石でともすのがかなり面倒で、

ガス屋らしくガスメーター用開栓ドライバーの磁石で試してみたら

やっぱり案の定ともった・・・・ガス屋なら男らしくこれでともしたい。

 

とはいうものの

振ってもつくくらいの、何もいらない点灯方法もやっぱり欲しかった。

だって、一本一万円近くするのに。

 

気を取り直し

一月ほど前、東急ハンズに行ったときに見つけたのが

600円でゆらぎもついてくる明かりだった。

 

一目見て、海外の他メーカーのコピー外観だったが

オリジナルより五分の一以下の値段である。

  

オリジナルは電球で、ゆらがないものの、美しく白いボディから

柔らかにもれ出る光が、目にもココロにも優しい製品だが

こちらはLEDを二個使い、うち上の一個をちらつかせて

ゆらぎを作っており、チープながら工夫された製品だ。

ロウソク型に匹敵する明るさだが、LED一個を

大胆にチラチラさせるのは、思いのほかリアルなゆらぎの反面

ちょっと目が疲れ、クドイ感じがする。

中身の電池が見えてしまうのも味気ない。

でも、安いんだから許すほかない。

今度、カースプレーで、ほどよく塗装してみようと思う。

就寝用としてはちらつき過ぎるので

食卓用として活躍中である。

(不思議な味のお酒、マッコリ)

 

いまや、LEDのあかりはボタン電池などを使ったものから

蛍光球に常夜灯機能を追加するために内蔵されているもの

などまで、いろいろと省エネでオシャレな明かりとして

身近になってきた。

 

この調子で、もう少し優しくて本が読めそうなくらいの

ほんのり灯明に近いものが出てきてくれるとうれしい。

 

今はなんだか、ノベルティというか

わざとらしい製品ばかりだが、日本の漆器の椀の鮮やかな朱に

吸い物の三つ葉がほんのり浮かび上がるような

まばゆくなく、優しく部屋を包むような明かりに

長男はあこがれている。

 

その先には、海の中にいるような、天井に

波紋を浮かび立たせる寝室用の明かりにも期待している。

ずっとないままならば、作らねばなるまい、と思うほど。

 

長男はことのほか、ほの暗い夜とほの明かりが大好きだ。


ではまた