行く夏が、まだ残る場所

 


春先以来、ずいぶん行っていなかった林。

今年は9月が寒くて、10月がやや暑い。

林には蚊がたくさん居て、どうも集中できないので

気温が下がって冬鳥が来るころに行きたかったが

あまりに天気もよいし辛抱たまらず行ってしまった。

 

実りの秋まではまだ少し時間があるので

林には緑があふれているが、風は冷えてきている。

駐車場からしばらく歩くと、相変わらず姿が見えない

中型キツツキの声に足を止めた。

やっぱり見えない。

またしばらく行くと、カワセミポイントだが様子がおかしい。

人だかりだ・・・まさか・・・カワセミは定点にとまるから

撮影しやすい、しかも美しい、都会では人気の鳥。

どこかの寂しいブログ人が、自分のブログの話題欲しさに

書いてしまったようである。

古株の皆さんの言うことには、見つかっただけでも

2、3箇所ということは、それ以上の寂れたブログ人が、

話題乏しいブログ人が居るということだろうか・・・微妙だな。

 

林に響き渡る観察者ではなく、撮影マニアの声。

「近くによって来てくれないとねえ〜」などとまたしても大声。

頭冷やすのに、季節外れの池で泳いでもらおうかとも思う。

撮影マニアは鳥の種類は知っているが、観察者の立場が

わからんようでもあった。

 

自分の体の何十倍もある人間がよってたかっていたら

そんなもん、近くに寄ってこないのは常識だ。

こいつらボケじゃな・・・

最古参のオバサンも呆れ顔だった。

 

かてて加えて、僕が大好きな小さなタカ、ツミが

もう一羽いたカワセミを食べてしまったらしい。

普段は個体数が多いスズメ、シジュウカラ、コゲラなんかを

食べているのだろうが、アイドルのカワセミは

2羽しかいなかったから、すっかり悪者扱いだが

食べないでは生きてゆけないのだから、仕方なかろう。

かわいそうだと思うなら、大声でしゃべらんで、ここを去れ。

そうすれば人間の脅威からは少し救われるぞ・・・・。

 

せっかく来たので、カワセミのダイブ撮影の練習は断念だが

木立を飛びかう鳥たちを見に、湿地へ行ってみることに。

ここは、鳥たちの通り道で、タカも小鳥たちもやってくる。

その入り口で、「タタッ、タッ、タッ」と大きな舌打ちのような

声が聞こえてくる。

何者だ?

声自体は冬の使者、ジョウビタキに似ている。

こちらの姿は見えているだろうが、急に動かねば

警戒心はそれ以上大きくなり難い。

音をさせずに、体をなるべく滑らかに動かして寄ってみる。

 

おお、やっぱりジョウビタキのメスか・・・なんだか地味で小さいが。

 

更に分け入って、林の中で座っていると、アチコチから

オナガの声や、先の中型キツツキ(多分アオゲラ)の声がする。

上空はるか高い木立で、ツクツクボウシもないている。

目の前の小川に小鳥の群れがやってきた。

群れといっても一種ではない。シジュウカラとヤマガラとエナガ。

シジュウカラとエナガは混ざるらしいが、多分ヤマガラは

その群れに腹を立てて、追ってきたのかもしれない。

ヤマガラはどこでも気が強いなぁ・・・

 

でも、素早すぎて、暗すぎて撮影は失敗だった。

まだまだ修行が足りない・・・というか・・・腕、なまりすぎだ。

 

昼近くなり、1時間くらい遊ぶつもりが2時間半も遊んでた。

帰りにまた池を通りかかるも、人は減っていない上に

会話が弾んでしまっていた。

やれやれ・・・

古株のオジサンが「コサメビタキ見ませんでしたか?」という。

こさめびたき???何じゃソレ・・・

「いえ、ジョウビタキは見ましたが・・・」

またしても知らない鳥の名が登場した。

この林にはどれだけ鳥が住んでいるんだ?

 

駐車場への道すがら、いつものジョウビタキポイントで

また地味なジョウビタキに遭遇・・・少し変なジョウビタキだ。

(のどの脇に班)

 

帰ってから調べてみたら、さっきのコサメビタキ、

とてつもなく地味な鳥で、ジョウビタキのメスが華やかに

感じられるくらい地味な鳥だ。

シギならば足が長くスマートな肢体がシギらしさを醸すが

スズメと変わらない姿で、色はのっぺり単色、模様も無い。

こ、こんな鳥が図鑑のページをの1ページを埋めていたのか

地味だ、あまりにも地味すぎる。

とっても申し訳ないが、見つけても感動ないぞ・・・・

ん?しかしヒタキ科・・・ジョウビタキは?

ありゃ、ツグミ科なんだな。

声はジョウビタキの声だが、姿はヒタキ科。

しかもコサメビタキは夏鳥で、ジョウビタキは冬鳥。

クジラとジンベイザメが似ているように、何らかの共通点が

声を似せさせたのだろうか???

しかし、夏と冬では接点が無い。

声が似る意味は常識的には考え難いなぁ・・・

更に、いろんなホームページや図鑑を眺めても

ヒタキの類でタッタッなんて鳴くのは記録がない。

困ったことだ。

コサメビタキをジョウビタキが追いかけていれば別だが。

冬が夏を追い出すというのは秋の風情だがなぁ。

しかも、のど元に班があるのも気になるところ・・・

 

アングルによっては、どうも尾羽の付け根がやや橙色、

び、微妙だ・・・

まさか、葦原と林の接点にいたし、タッタッという声からして

オガワコマドリのメスの幼鳥かな???

ズアオホオジロほどではないが、珍鳥で

そこそこ日本にも渡ってきているよう。

撮影例は結構多いがオスばっかりでメスはコサメビタキと

勘違いされているのか?地味で見過ごされているのか・・・

オガワコマドリなら理屈は通る。ツグミ科だから。

 

ただいま、授業や卒論などで激甚的繁忙の中にあるはずの

モズ博士Tに、むりやり写真を送りつけてしまったが

もう少し観察する必要がありそうだ。

夏鳥だと、来週いるとも限らんのだが。

 

カメラ持って、お散歩しにいこっと。


後日連絡をいただいた。

腰がオレンジの写真、釣友やモズ博士Tによると、ヒタキ科らしい。

ツグミ科にしては足が短いような気もする。

確かに、キビタキのメスみたいだが、じゃあ声の主はどこに?

キビタキということは、渡りの途中、南方へ帰るところだろうか。


ではまた