シリーズ

めざすは、うるデ爺(うるでじい)

第二話

「オールドVAIO、おかえり夢の旅パソコン」

 


実家の母に、パワーブックのお下がりを託した。

本来なら、非常用に置いておこうと思ったが、ウィルス感染もなく

ソフトもそこそこ使いやすくなったApple Macintoshは

どうもパソコンが欲しいと言いながら馴染めな母には

かっこうのノートパソコンであろうと思った。

何しろ、見てくれがよい。

最新パソコンも舌を巻く美しい金属ボディ。

しかも、Windowsでなく、クリエイターや大学教諭が使うパソコン、

最大の弱点は、長男の好みである、英語キーボードに

なってしまっていることだ。

かな入力が必要ない向きには、全くうるさい存在

それがキートップのひらがなであった。

 

一方、それと引き換えに、戻ってきたのが

なつかしのバイオノートC1である。

旅にはもってこいの小型軽量、キーボードは使いやすい横長フォルム。

 

残念ながら画面には、古くなったためか、黒いそばかす風の

すすけた斑点が出てきている。

実用上は全く影響ないが、なんだか気分がメイるものだ。

しかし、逆に安心できるレトロな感覚が、なんとも馴染みやすい心持ちを

抱かせてくれる。

 

USB2.0もない、LAN端子もないバイオ。

先端技術を偏屈な形で、技術オリエンテッドらしく見せた、せっかちな製品だが

今にしてみれば、スローライフ的なパソコンとすら感じる。

 

CPUも特殊で、トランスメタ社の処女作、5600、600MHzだ。

部分的に、ハード処理をソフトに任せるコードモーフィングという

厄介な技術で電気を節約する妙なCPUで、思った以上に遅い。

だが、それはWindowsMeだからでもある。

母に渡した時はMeの上から書き足した、アップグレードWindows2000。

今度こそ、Windows2000を最初からインストールしてサクサクにしてやる!

言い知れぬ、意味不明のモチベーションが立ち上がってきた。

 

今となっては、レッツノートやNECの新作、レッツノートもどき、それに

バイオの薄型DVD搭載モデルなど、魅力的なマシンが軒を連ねる。

 

だが、それ以上に、自分が買ったマシンが愛しいのが

デジフェチに限りなく近いデ爺の素質であった。

 

HDDは30GBから、そのへんにあった80GBへ、OSはMeから2000へ

比較的「すんなり」と移行できた。

(我が家にはHDDが結構たくさんある・・・)

正直なところ、もったいないくらい速くなった。

昨年、荷物が増えすぎて、小さくせねばならなくなったパソコン装備。

そのために買ったバイオU1より速い。

 

これまでの数々の失敗が「すんなり」を支えていることは言うまでもない。

今では1024x480という画面、アスペクトもどうしようもなく使いづらいし

DVDコンテンツを再生できるほどのCPUパワーもない。

しかし、これを携えて南大東へ通った日を、忘れはしない。

ちっちゃくてキャンキャンと音のするステレオスピーカーがついていて

これから沖縄ミュージックを流しながら、宿で仕掛けを作っていたものだ。

キーボードが広いからホームページ記事も書きやすかった。

 

今や、八丈島の常宿には光ネットワークが入り

LAN端子がないでは話にならぬし、我が家はすでにギガビットEtherである。

とりあえず、ギガビットカードを挿して使えるようにしておいた。

 

これをもって旅に出るかは、今となっては微妙だが

使えるパソコンを放っては置けない・・・こういった気持ちが

将来島へ移り住んだときにも、きっと役立つに違いない、そう長男は信じている。

「もったいない・・・」以上の可能性がありそうに思う。

 

旅には、これまでいろんなパソコンを持っていった。

レッツノートCF−32、バイオC1、レッツノートR1、ダイナブックM200、

バイオU1、そしてパワーブックG4。

(左C1、右U1)

 

松下に入社して最初に配属されたのが、情報機器本部。

当時の松下のパソコンの総本山であった。

でも、世の中で松下が一度撤退したはずのパソコンを作っていることは

ダイナブック以前から、ノートパソコンをつくり、輸出していたことは

全然世に知れていなかった。

そこで学んだパソコンの構造や設計者の考え方などが

今、知らないパソコンを分解する時に役に立っている。

 

結局今は分解しにくさナンバーワンのパワーブックがパートナー。

でも、こっそり中にはWindows2000がインストールされていて

いざというときは変身するようにしてある。

ウィルス対策ソフトを入れると重くて動かないので

ネットワーク機能は使えないけれど、おふくろ様のところへ行った

初代アルミ製パワーブックよりはずっと速い。

ひょっとするとバイオC1より速いかもしれない。

 

これからは、デスクトップパソコンにもうるさくなろうと思うが

多分、ノートよりはずっと楽チンだろう。

デジタルカメラの分解は、ちょっと厄介だが、まあこちらも

ノートブックレベルの腕で何とかしてきた。

 

さあ、次は何を改造しようかな・・・

住みたい島を見つける旅に持っていけるように。

楽しい旅ができるように。


ではまた