命しっかり

 ヨコハマの林

 


釣りに行かない日、晴れた休日はいつもより少しだけ寝坊して

行きつける場所ができた。

家から車で30分ほど走った、林である。

都会の林なんざ・・・・と、たかをくくっていたが、タカが出ちまった・・・

すごいもんだ。

 

いつものように、知人となったオバさんとその池にいる青の住人の

様子を見に行ってみる。

案の定、オバちゃんはデジスコ(鳥観察用望遠鏡+小型デジカメ)で

そっといつものように、やさしい秋風のようにたたずんでおり

その指さす先には、やはり青の住人が元気である。

オシドリもいるよ、と声を掛けてくれるが、水鳥はどうも苦手なので

いつもの湿地帯へ行ってみる。

 

そこは日によって様々な珍客がやってくるポイントのようで

ふと見上げた枝には見慣れぬ猛禽(もうきん)が・・・こちらを見ていた。

調べたところ、どうもツミという小さなタカの幼鳥らしい。

黄葉の陽だまりに、黄金の瞳を輝かせ、やかましいギャラリー、

シジュウカラとコゲラのモビングがちょっとめんどくさそうである。

(モビング:弱いもの同士が結束し、強敵を追い払う威嚇行為)

徳之島では気の強いヤマガラに追われてしまっていたが

こいつはあまり意に介していないようである。

 

はたまた別の日には・・・

なんじゃこのホオジロとホオアカとヒバリを足したような姿は???

結局この鳥はなんだか良く分からない。

カシラダカなのか、ミヤマホオジロなのか・・・

個体差もあるしオスメスで違う姿だし・・・

見ていたら助けてほしい、T博士よ、この鳥は何者?

 

この日はラッキーにも、草陰でチッチッと地鳴きする鳥の正体も

捉えることが出来た。

ここにはこの正体が二種類いて、その一方はホオジロ

もう一方がこのアオジである。

近くにいてもなかなか見つからないやっかいなやつだが

やっと少しだけ写すことが出来た。

 

さて、しばらく撮影したら、また池に戻ることにしている。

それにしてもこの林にはコゲラが多い。

道々歩いていると、派手なシジュウカラの声に混じり

ジーコジーコと飛び回る姿が良く見られる。

キツツキって木の実も食べるんだなあ。

 

コゲラを撮ってからまた池への道を歩いていると

グワっグワワっと二羽が空で暴れていて、それが池の方へ。

いつもは見かけない、いかにもプロ風でごっつい白いレンズを持った

何でも知っている風なカメラマンおやじが加わり、じっと池を見つめている。

この公園をフィールドにプロのカメラマンをやっているという人が居るらしいが

その人のHPの写真は、そりゃゴクゴク普通のものだったが・・・

価値観が違うのでなんともいえないし、良い写真は売るので

HPには掲載できないのかもしれないが、それにしても普通すぎる写真だった。

(でも、このHPのおかげで、写真に自信がついた)

 

それがこのオヤジなのだろうか???

そのHPはネイチャー写真で、もっと多彩な被写体を追いかけている人だ。

多分、猛禽だけを追いかける、まあ鉄道を追いかけるカメラマンみたいな

人なのだろうと思われる。

まあ、ある意味、イベントコンパニオンを追っかける向きと似ている。

 

話をもどし、目線も戻すことにして

皆の視線の先を見ると、このところ森をうろついていたゴイがパニックになって

池の木の下のほうにしがみついている。

ゴイはサギの中でも隠れるのがうまいから

ゴイばかり気にして撮影していたのだが・・・近くの枝の上から

このゴイへ飛びかかるものが居るではないか

 

な、なんと・・・

タカではないか、それもオオタカ

秋風オバさんから話は聞いていたが・・・

ポジションを替えようと少々歩いていると

「あまりうごかないように」とオヤジがささやく。

確かに先に目をつけて、自分がベストポジションを

先に取った権利らしきを主張したい気持ちはわかるが・・・

まあ、鳥などというものは逃げるときは逃げる。

動こうと動くまいと存在はとっくに知れているし

視力は何百倍もある相手である。

それにこれはニラミ合いである。そうそう決着はしない。

その上にだ、待ち構えていたのではなく、たまたま、タマタマに

猛禽追っかけ系コンパニオン同系オヤジの目の前の池に

舞い降りただけじゃないか。

それで人に指図する、曲がった根性、これは合点がいかぬ。

むしろ、鳥類の生態を無視して、撮影のみに徹してきた姿勢が

ありありと見える情けなき姿である。

 

ま、釣り場にも、撮影場所にもこういうヤカラは居るもんだ。

その後、オオタカが去ると、携帯電話でしゃべくっていた

勝手なオヤジでもあった。

やれやれ。

本来、どのような状況だからこのようになると

自然相手なのだから、考察せねばならぬが

そのような回りくどい思考にいたることの出来ぬイイ歳の者が

多いのも事実であった。

 

オヤジの興味はオオタカだけだろうが

オオタカが去るや、本来の池の住人がやってきていた・・・

 

一方、

鳥は電波も分かるように思う。

珍客ポイントでたまたま携帯メールをしていたら

本土で初めてモビングにあってしまった。

シジュウカラとコゲラコンビが周囲でさわいでくれた。

あれはアイモードの電波を察知した鳥達が

騒いだように感じた。

 

まあ、おかしなオッカケオヤジも出没してしまうが

猛禽やゴイ(ゴイサギの幼鳥だった)も住みつく林。

どんぐりも栗もある。

結構やるじゃないか、ヨコハマの林。

 

おおむね、この森の住人が見えてきたが

まだまだ撮影できていない、中型で激しく鳴く声の持ち主が居るし

中型キツツキやヤマシギも居るようだ。

実はまだまだ知らない住人も居ることだろう。

ちょっとだけヨコハマが好きにさせてくれる生態深き林である。


ではまた