暖冬

 


 

屈折する流れ

 

フィジーには、ケレケレという概念があるという。

シマンチュも、家族付き合いが強い土地柄だが、それをはるか上回る、共存の思想のようだ。

私のモノも皆のモノ、あなたのモノも皆のモノという。

何かを借りるとき、黙って持っていくのが当然なのだ。

さらに、金がなくても買い物しても、見知らぬ誰かが払ってくれる・・・ 超絶信頼関係がある。

金が払えないくらいだから、なおさら払える者が払うべきだ・・・ という民族共同体主義。

過去、欧米列強のプランテーションに苦しんだ際の、民族が生き残るための知恵だったようだ。

日本の全体主義こそ美徳の極致と信じていたが、恥ずかしくなった。

盗むとか、だますとか、そういう感覚を超越しているのだ。

いかなる物事も共有すれば好いのだ・・・ という考え方が根源にあるらしい。

もともと豊かでなくても、シェアして緩和する経済、キリキリ他人を追及しない社会があったとは。

なんと、子が産めないからと、もらって育てる・・・ のもアリアリだというから、筋金入りだ。

民族主義でも全体主義でもなく、民族全体家族思想。

さしものシマンチュも、そこまでではないな゛〜。

 

連日、小4女児虐待殺人夫婦の話題が絶えない。

こういうのは、流行病のようなもので、死者が出るとマスコミが騒ぐ。 そしてじき廃れる。

ウチナーンチュのみならず、シマの男性は昔ながらの上下関係をに縛られていて、

今もって男尊女卑で年功序列で、ゲンコツ優先の社会である。

実力も腕力も、年齢もイケてない人物は、朝鮮人同様に、ハケグチがなくなり窮してしまう。

だから、そうした人物は、窮すると荒事になりがち・・・ になってしまうのだ。

けれど、児童相談所の話題ばかりで、そのような社会通念が語られることはない。

 

高血圧だからと、血圧を下げる薬を処方されるばかりで、根治しない西洋医学のようなもの。

 

ロスケの翻弄外交に、そのまんまノリノリな安倍政権。

なまじ、プーちんとシンゾーの仲が良いような情報をマスコミに流布したことを利用されている。

連中に真摯さや正直さを求めることは、まったく的外れなことだ。 必要なのは、当面の利益。

地下資源頼みの共産主義が行き詰まり、内紛を抑えるための、目くらまし外交だ。

一方チャンは、AIIBも一帯一路も頓挫している。

 

123便は撃墜、911は自作自演、311は核爆弾が起動させたとか・・・

この世はナニを信じたらよいのやら。

 


 

三年ぶりに、アカハラを見た。

この冬は、ツグミの類いが最も少ないシーズンになった。

 

ひとくちに暖冬といっても、いつもかも温かいワケでもない。

温暖化は気象激化だから、内地でドカ雪になるときは、島も寒うなる。

 

折々に記しているが、この冬の鳥の渡りは、明らかに異常だ。

いつも通っている運動公園には、毎年ツグミが越冬するが、今年はゼロである。

同じツグミの類いのシロハラも、確認できているのは1羽のみ。

昨年も、とても少なかった。

以前は、ツグミどころか、ハチジョウツグミも当然のように見られた。

渡りのシーズンには、マミチャジナイどころかノドアカツグミやクロウタドリも渡来した。

 

明らかに暖冬なのかどうか・・・ 島ではとても判りづらい。

もとより、風向きが変わるだけで気温がコロコロ変わるからだ。

 

しかしながら

近年の降水量の減少は、明らかに連動しているように思う。

と同時に、昆虫が全般に減った。 蚊も、ゴキブリも、ものすごく減った。

昨夏、自販機の灯火に集まる昆虫も、壊滅的に減ってしまった。

ひょっとすると、強風が多くなったのも、飛翔力の低い昆虫には打撃かもしれない。

私も、シケやらルアーが飛ばないやらで、釣りできないくらいだしなぁ。

 

かねがね

温暖化は雨風が強くなることだと記しているが、島に関しては風ばかりで

雨は減っているように思う。

2010年、マングローブで有名な住用で洪水になった奄美豪雨のころ、冬の雨は多かった。

 

ただ

昨年はツグミも少なかったが、瞬間的な冷え込みも強かったし、4月まで冷えた。

イノーにいたガセ(ノコギリガザミ)やシオマネキなどが、大半が死んでしまった。

 

つまるところ

冬の冷え込みが強いときに、節足動物たちは死に、夏は暑く雨が降らない日々が続き、

挙句に早くから台風の連発で、繁殖を失敗しやすくなった・・・ と謂うことか。

夏に限っては、夏鳥の繁殖にも、だいぶ影響しているように思う。

アカショウビンやサンコウチョウなど、だいぶ減ったし。 海岸のコアジサシも危なかった。

 

他方

ここ10年で、初めて越冬した鳥もいる。

ダイシャクシギX1、アカアシシギX2、セイタカシギX1だ。 統計的には、誤差にもならぬ数値。

干潟は北西の風に弱いから、過ごしにくいはずだが、外来種メヒルギの密度が無駄にアップし

風よけになっているのかもしれない。

だからといって、今のままだと、あわやラムサール条約返上となっている漫湖の二の舞だが・・・

ちなみに、移住当時は、ここもまばらだったし、見通してシギたちを観察できた。

流れのゆるい場所に生えてしまった場合、埋め尽くされて生物は逆に減ってしまう。

理屈は単純で、日の光が干潟に届かなくなるから、である。

実は、川の流れがないために、入ってきたゴミがたまっていく一方でもある。

マングローブだ・・・ などと、誤解ずる向きも多いが、私にとっては薄汚いただの林だ。

正しくは、人為的に植えられて勝手に繁茂した、メヒルギ群落である。

川もないのにメヒルギが生えているのは、生活排水と、運動公園の雨水の排水による。

 

種子島でもメヒルギがあったくらいだから、かなり寒さにも強いらしい厄介者。

逃げも隠れもしないから、マングースよりはだいぶマシだろうが、伐採には金も労力もかかる。

 

アカアシシギとの出逢いは10月、慌てて飛び去ろうとするところへ、

キアシシギのキュイキュイのマネを投げかけてみたのが最初。

すると、すぐ着地してコチラをシゲシゲ見ながら、警戒のため首をピョコピョコ上下させたのである。

シギにも表情があるのか?と思うくらい、不思議そうな、いや混乱しているような顔をしていた。

爾来、かれこれ3ヶ月ほど、鳴きマネを聞かせている。

そのためか、マネを聞くと逃げずに警戒するだけだったり、ッキヨ〜ン♪ と応えることもあった。

アカアシシギがどう認識しているか知らぬが・・・ シギよりデカいが、キアシシギと似た声を出すから

天敵ではなく、デカいシギなのかもしれない・・・ と学習しようとしているかに見え、

しばらくすると、そのまま採餌を続ける。

私も、チラと見やるだけで、ジロジロ見ないよう心掛けている。

あるいはスキをみて、撮影を試みる。(笑)

 

チヌ釣りのとき、不意に飛んできたので試しに ッキヨ〜ン と鳴いてみると、応えたときは嬉しかった。

無論、タダの偶然かもしれぬが・・・ 彼らがウカツに鳴けば、天敵に気づかれることは自明の理。

 

 

連休中日

あろうことか、私が鳥観察を本格的に始めるきっかけとなった、師匠にあたるモズ博士Tが、

世界自然遺産セミナーで講話をしにやってきた。

まさか、私の職場に招かれて来るとは、想いもよらなかった。

 

無論、彼の発表に破たんも退屈もないが、刺激的だったのは、そのあとの人妻の問いだった。

愛用のデジカメを携えてやってきて、いつものようにモニターを見せ、この鳥はなんですか? と。

その鳥に、博士も私もビックリ!!!

 

介護の合間を利用して、キヤノンの高倍率コンデジで、観察している野鳥を記録している女子だ。

 

人妻には、その鳥の名を伝えたものの、モス博士Tも私も顔色がスッカリ変わっていた。

互いに、一般マニア以上に珍鳥を眺めている立場だが、超珍鳥を眺める機会は運しだいだからだ。

 

年間数例あるかどうか・・・ といったズアオホオジロインドハッカほどではないにしろ、

ソリハシセイタカシギオニアジサシといった、国内で年間にして数例〜十数例レベルの珍しさだ!

 

モズ博士Tは、立場上セミナーの関係者であり、終了まで残らねばならず、

自由な私は、会場の前にあるAコープでシッカリ買い物してから、現場へ向かうこととなった。(笑)

 

とゆ〜のも、時間は15時半だったんだが、人妻の謂うことには「いつも4時頃出てくる」だそうだ。

意味深なヒントがあったから、買い物を優先したのであった。 実に都合よく・・・

 

果たして

現場へ赴いたものの、サッパリいない。 刺激するのもナンだがヒマなので、そこらをノロノロ散歩し、

たぶんコマドリの類いは、時間帯限定で出てくる可能性があるからと、車に戻って待ってみた。

 

すると・・・ 小一時間もしたころ、ヘンナ挙動の鳥が、車の広報をチョロチョロし始めた。

直感的に、ヤツだろ?と感じる。

サイドミラーに反射するのを撮影しようとしたものの・・・ ミラーには歪曲があってダメだった。

ニンゲンの目でピントが合うんだから、合うに違いない! と、思ったんだが。(汗)

 

やにわに

あんまり近くをチョロチョロするから、コンデジで狙うんだが・・・ ピントが合うタイミングがない。

ようやく合っても、タイミングとはズレズレだった。

 

ミラーレスで、記録を試みる。

薄暗い夕刻、キヤノン500mmF4開放と、LUMIX G8コンビで、マニュアルフォーカスだから

ヒッジョ〜ニ忙しい。

前ピンだったが・・・ とりあえずオガワコマドリに違いない。 釣り人の、アカメ的な存在か。

薄い被写界深度で、あまりに高いピント精度が必要だから、前ピン後ピン続出で歩留まり最悪。

 

コマドリの類いは、ウギ(さとうきび)畑の中や、茂み、あるいは森林から出ない習性があるから、

過去に目撃例がかすかなのも仕方あるまい。

 

ノゴマコマドリの一種、ウギづくりが最も盛んな徳之島では、相当数が越冬しているものの、

現在ではシマンチュが目撃することは無くなっている。

昔は、手かさぎ=手作業で収穫していたから、その際にノゴマが住処を失って出てくる様を

日常的に目撃していたのだが、今はほとんどが他人任せの収穫、ハーベスター。

おととしまでは、わが家のジャングル庭園で冬場 、つがいが採餌していたこともあった。

素早さと、茂みから出ないから、撮影はできなかったが・・・ 目視はできた。

居ることがわかったキッカケは、オスが「フィヨイヨ・フィヨリ」と通る声で鳴くからだ。

 

内地で繁殖しているサギの一種、ミゾゴイも隠遁性が素晴らしすぎて、観測できない種だ。

 

ともあれ

暖冬は、コトバほどの人的暖かさがあるワケもない。

所詮は、大規模な環境の変化に他ならない。

 

先月まで、アブラナ科のチンゲンサイやキャベツ類のブロッコリーには、モンシロチョウの幼虫が

ウヨウヨたかっていた。 あれから、だいぶ冷え込んだりもしたので、幼虫は鎮まってくれた。

 

スーパーで売られているモノだけで生活していると、サッパリだろうが、自然は甘くない。

当然、ブロッコリーからウニウニと芋虫が何匹も出てくることを想像できないだろうし。(笑)

世間知らずなのは、なにもドイナカモンばかりではないよ。

無論、それらが発生したら、それなりの農薬を投与れれていることだろうし。

島野菜は自家用だから、農薬などどこ吹く風である。

 

ただし

サトウキビ用の強力な農薬が、間接的に家庭菜園にも影響していることは、否めないけれども。

 

ところで

ちょっとしたヒミツがある。 去年から、急に島のジャガイモが売れなくなった。

表面的には、赤土が気色悪いから、とか、洗いづらいから、のようだが、実情は違うようだ。

並べて食べると判るが、徳之島のジャガイモは極端に旨味が強く、味付けは塩だけでも十分。

だが、それを他の産地が許さず、ひいては農協の立場も危うくなっらようだ。

それを恐れて、もともと農協は、もっとも関心の薄い名古屋の市場にしか流さなかった。

関東や関西に流して、ウワサが流れるのを防ぎつつ、島の農家には農薬を売り続けたかった。

 

今シーズン、相場は55円にまで低下。 高いときは120円を超えていたのに・・・である。

これを自由市場と謂うのだろうか???

 

美味いモノが封じられる農協の在り方など、看過できるものではない。

確かに、シマンチュは合理性より、バレイショの実りを優先して、バカみたいに施肥するからこそ

反則的に美味い、体験したこともないようなジャガイモになってしまうのだが・・・

 

ウソだと思うなら、コソッと食ってみれば??? とにかく、ナニしろ無駄に美味い!!!(笑)

いぶかって食べても旨味を感じるほど、キチンと美味い。 販促的な美味さだ。

 

んま゛〜 美味すぎるといっても、売れてしまうと、おそらく他の産地の経済が成り立たぬ。

美味すぎるし、採算無視のシマンチュには対抗する術がない。

それを恐れたからこその、JAのとりなしだったワケである。

 

さ〜て さて

この冬は不思議と、鳥の渡来もジャガイモの売れ行きもサッパリである。

しかも、インチキな統計でけん引してきたアベノミッキスも、崖っぷちに立たされている。

公明党総裁まで顔を出し、火消に必死だ。

 


 

わが家の経済は、インフレになるほど細っていく一方である。

役場の賃金は、税額が上がっても、連動することなど無いからだ。

 

それでも

私の貧民生活において、暖房費が無用な島の生活はとても有り難い。

 

ただ

時系列としては、この記事の日付からは明日になってしまうが、知人が自ら逝った

徳之島の冬は曇天か雨ばかりで、ウツっ気を抱えた精神にとっては、明るくなれない冬。

曇天といっても半端ではなく、夜明けの明るさのまま・・・ 分厚い雨雲に覆われ続ける。

 

いつも彼に挨拶したところで、固まった表情だったのが不思議だった。

私も、彼にトヤカクできるほど余裕があれば、たぶんサラリウーマンを続けられただろうし。

 

パキシルという抗うつ薬がある。

飛躍的に改善するが、副作用も大きく、人によっては、日常生活にも支障をきたすほど。

常用する患者さんたちは、そのキツイ副作用を「シャンシャンする」と表現する。

私もずいぶん、そのシャンシャンに苦しんだので、離脱を選んで今に至った。

 

シャンシャンは、薬物的なめまいである。

確かに朝の目覚めの気分は、見違えるように改善するが、めまいが日常になるのだ。

彼が、その現実と、島の陰鬱な冬の天候にさいなまされたのかは知る由もないが

今となっては、そんな私の知見は、全くのムダでしかないなぁ・・・

 

イロイロ、事情はあるだろうけど

暖冬だろうが、環境変化だろうが、ウツだろうが、生き残ってナンボでしかなかるう。

彼が死と引き換えに守りたかったプライドは、何だったんだろう。

枕元にでも立ってくれれば、わかるんだが・・・

 


 

ではまた