準備進まぬ旅

 


徳之島にはいろいろとやることがたくさんある。

まず、一番大切なことは、キチンと釣れるものを探す事である。

それから、Oちゃんとクロウサギ撮影などに興じられる、これ本筋。

 

周囲がリーフに覆われているので、比較的人工的な皆と周辺くらいしか

深くなっているところがなかなかない。

そうでない場所は人が多い。

不思議と、先入観だからだろうが、沖縄の人より

釣り場では、ややおおらかさに欠ける気がする表情を見せる。

 

多分、釣り場が狭いからだろうけど。

 

険しさは、大東とか八丈に比べて、そんなに険しいさが

とりたててすごいわけでもなく、わりあい安定して良い磯な方だ。

でも、場所が限られるせいか、あの、場所柄から霊魂ただよう

隠れた自殺の名所である本州最南端クレ崎周辺に比べたら

ずいぶんおおらかな方なのだが。

 

あれこれ釣具も買ったのだが、仕掛け自体を作ってないし

やっと終わったのは前回改造したパソコンで、デジカメ画像が

バッチリバックアップできるようになったくらいなもので

あとは全然である。

 

ま、慌てても気が乗らないんだから仕方がない。

デジカメの方は十分テストもしたし、OKで、ザックには詰めるだけ。

 

夏休みの一日余裕をみてから出発することにしているから

ヨケイに安心してやる気になってないのも事実である。

 

あ・・・宿もレンタカーも予約してないや・・・

 

とはいうものの、腹が減っては準備ができぬ、とばかり

ちょっと美味しいものでも食べれないかと思うのだが

ご存知のとおり、このところ、昼は30度以上、夜は熱帯夜の毎日だ。

 

それに酒を脱してから少し経つが、どうもまともな夕食というのが

なかなか思いつかない。

そりゃそうだ、もう10年以上も晩酌生活だったんだもの。

 

秘密にしていたが、酒を脱してからは、なかなか睡眠不足が続いていて

食欲もあまりないし、だるくてたまらない日々も多かった。

 

勢い、ご飯だけは炊くので、徳之島で学んだボロボロばかり

食べているこのごろである。

 

これは、本来固めに炊いたオカユを冷まして、氷水でいただく

素麺みたいにスルスル食べられるご飯だが

それなりにおかずを食べないと、到底スタミナがつかぬ。

お茶漬けとは違うので、とても消化はよいし、不思議と元気も出るが。

 

会社に居ても、油断すると寝そうになるくらい眠いので

早めに帰って、何か美味しいお魚料理でも食べようと、その日の夕暮れ

めずらしく夕日を見ながら帰路についたのであった。

 

さて、何を食べたものか・・・こってりすると食べにくい

あっさりするとスタミナがない・・・う〜む・・・

ヤオチュウスーパーで密かに悩む長男。

 

ふと、カツオのサクが二度目の値引き状態になって我を呼んでいる。

 

漬けにするほど暇はないが、ステーキに焼くとちと面倒だから・・・・

ひらめいた。

 

いつぞやの正月にやったインスタント漬けが

心の底で語りかけてきたのかも知れぬ。

 

「ゴマ辛味漬け、アツアツご飯のせ」だっ!

いつもは見栄もあって二品以上買うが

ひらめきが一品だけでレジへ向かわせていた。

 

ゴマ辛味漬け・・・タレ作りと漬け込む時間が肝心だ

仕込み、行水、軽くホッピーを飲んでその後ちょうど食べられる具合・・・

結構難しいぞ!などと頭の中はアクセクしつつ

夕暮れの町角から夕焼けを見るともなく見上げ家路を歩んでいる。

 

家は安ぶしんの二階、熱の宝庫になっている。

窓を開けると、今まで扱った外の空気が夢の様に涼しい。

 

さあ、早速料理だ。

まず、タレのベースは日本酒。

煮切って冷ますだけだと普通だが、なんとかニンニクの生っぽさを

和らげてやりたい。

相変わらず、材料は乾燥輪切り唐辛子と薄切りニンニクである。

これをゴマと一緒にすり鉢で擂る(する)。

おお、そうだ、ココへ煮切ってアツアツの日本酒を注げば

タレ全体に素材の味と香りが熱のお陰でなじむではないか!

しかも、生ニンニクっぽさも消える。

(乾燥ニンニクの無い向きには、唐辛子とゴマの擂ったものに

 ニンニクひとかけをすりおろせばよいと思う)

適宜、醤油と砂糖かハチミツを加えて味を調え、

漬けにするボールにうつしておく。

最近、冷えてない飲み物を冷やすために、大きな四角いタッパに

氷のカタマリを作り貯めてあるので、それを大きなボールに割り入れ

水を注いでキンキンの冷水を作って、そこへ先のタレボールを冷やすのだ。

 

サクのカツオは厚さ4ミリくらいの薄切りにして、行水している間にも

ジンワリ漬かるくらいにしておき、タレに入れ、混ぜるのではなくて

手で揉み込むと漬かりがシッカリする。

冷気が逃げるので、ラップをして、行水し、10分くらいたったら

もう美味しくなってきている。

アツアツご飯にのせ、タレも少しふりかけて

改めてゴマとアオネギ、ミョウガや青じそなどを

トッピングしてもいいだろうが、この際急いで食べたかったので

シンプルなカツオゴマ浅漬けどんぶりとあいなった。

 

うまい。

何杯でもいけそう。

飯が足りないが、気づくと腹も張っている。

 

もうしばらくすると、かなり味がしみてくるので

アツアツご飯にのせた後

ゴマと青海苔あたりをトッピングして、麦茶で茶漬けにしても

これまたよさそうである。(ウーロン茶でも許す)

 

もちろん、ボロボロにトッピングしても完璧だ。

 

唐辛子とアツアツご飯で熱くなるドンブリのおかずは

キンと冷え、たっぷりの鰹だしがきいた薄味の冬瓜煮がよく似合う。

もちろんコレは前日に作っておいて、キチンと冷蔵庫で冷やしておかないと

味もしみないよ。

夏にはこの冬瓜も欠かせないんだな。

 

さて、今年は予想通り、苛烈な自然が展開し、ものすごく熱いし

なにやら北海道には梅雨のように停滞前線がある。

まだまだスゴイ気象が待っていそうだ。

それでもなおエアコンを使わないためにも

スタミナを温存できる、簡単美味しいレシピを、増やしていくぞ。

そうすれば、お酒が無くても、よく冷えたホッピーだけで生きていける。

(どうしても炭酸のシュワシュワはやめられんなぁ)

 

さ、腹も満たされたし

シラフで準備準備。


ではまた