日本食もうまいが

 メリケンの食も案外うまいぞ

 


帰ってきてから、やっぱり食べたのが白いご飯。

白いご飯が食べられなかったわけではないのだが

やっぱりご飯だった。

 

週末はなぜか必ずシカゴに戻ってくる手はずになっていた。

シカゴ近郊のアーリントンハイツの宿には

この地区に日本人が多いためかご飯が用意されていて、ナゼかお茶漬けと

インスタントお味噌汁も具と味噌が別々に、たっくさん用意されていて

おかずは見当たらず、何にかけるか不明だが常備される醤油のボトルから

スクランブルエッグに、ちょっとかけて食べたりできる。

インスタントのお味噌汁は、すすりやすいように大きなコーヒーカップに

具を二つ入れて作るとちょうど良い。

居合わせた日本人の若いご家族連れに伝授したところ

次の日から定番メニューになっていた。やっぱり日本人は味噌汁に限る。

 

朝食は宿代に含まれているためご飯食べ放題で実に嬉しいのだが

このあと昼夜ハイカロリー食が待っていることを考えると

ご飯一杯におさえこむのが辛いが、そこは長男である。

 

少々食欲が無い朝でも、不思議とご飯を口にし

インスタント味噌汁をすすった瞬間、食欲がムクムク湧いてきたもんだ。

やっぱり長男は日本の長男であることを、あらためて痛感した。

具の方にだしの素が入っているので、二つだとややしつこいのだが

家に居る時の様に具とだしの素をフルイ分けるなどという無粋なマネは

メリケンに来てまでやる事はなかろうと、薄めて飲んでおいた。

 

さて

今回驚いたのは、案外メリケン食もいけることだ。

日本の様に、なんでもかんでも甘辛く、だしの素、みなぎるグルタミン酸

ということはなく、肉も脂が少なくてとっても食べやすい。

ただ、量がジンジョウじゃないだけだ・・・・

 

シカゴに駐在する方に案内されたストーニーリバーというお店は

ステーキがいけるらしいが、スープも美味いらしい。

一杯7ドルもする?のだが、このボリュームである。

しかも材料はカラごとすりつぶしたエビだという。

うらごしし、スープで割って、生クリームを加えてあるようだが、これが逸品。

まったりとして、えびエビしているが、やたら手を加えていないのか

妙な雑味がしないからとってもうまい。

この味とボリュームで7ドルなら、甲殻類を好まぬ長男も、

毎週来たくなる。

 

松坂のとなりまち、伊勢で育った長男、肉にはウルサイ。

当然、レアで注文である。

レアで中が冷たかったり、肉がべしゃっとして

なまにくナマニクするようではだめであるが

ジューシーながら、ほくっとしている。

外側はものすごいカリッと焼かれており、強烈な遠赤外線と

程よい火力で焼かれているようである。

脂もほとんどなく、ほぼ満点、こんなの食べた事無いぞ。

ほぼ、というのは、少々塩加減が強すぎるのだが

このくらい味がしゃっきりしていないと飽きるんだろうか。

量が多すぎて飽きたが・・・おいしいビフテキであった。

もちろん、怪しげなグルタミン系の味がするステーキソース

などというのがないから、とっても肉が美味しくいただけたのであった。

 

ところで

長男はファストフードが好かぬ。

食をおろそかにせねばならぬような人生なら本末転倒だからだ。

 

急いで食べるくらいなら食べない。

それにこれまで、悪い思いしかしたことがない。

Mハンバーガーなどは100%牛肉というが、つなぎのでんぷんの

変なにおいのする肉がはさまっていて、吐いたことがある。

 

当然、今回も当初吐きそうなものを食うのはやなので

注文したのはフィレオフィッシュとかクリスピーチキンなどであった。

 

そして、テキサスに行ったときに

夜も遅くにチェックインとなったのだが夕食がまだ・・・

思い切って、宿の近くにあったバーガーキングという店に入ってみた。

どこかで聞いたことがあったが、日本では撤退したらしい。

ANGUSといって、コンボ(ポテト、ドリンクつき)にすると

700円近くするのだが、背に腹はかえられぬ。

日本のお好み焼きの値段よりは

ずっと合点が行く値段ではないか・・・と自分に言い聞かせ

こいつは美味かった。

ポテトも結構うまかった。朝までもたれたけど。

ハンバーガーを美味しいと思ったのは生まれて初めて。

うみゃーでかんて!と叫びたくなるほど美味かった。

味付けも素直にされていて、好感が持てる。

照りヤキなんとかなど、怪しげなグルタミン酸系のタレで

故意に彩られていない、こういう実直なハンバーガーなら

美味しいモノである事を知った瞬間であった。

 

こちらは、なぜかアリゾナに行ったとき、何西部担当の

メリケンびとの営業が連れて行ってくれた豚肉が美味い店。

ニンジンの細切りのフリャーが邪魔だが、素直にどけて食べる。

薄味でコクがあり、分厚いのに中まで今しがたそっと火が通ったような

ジューシーでとても柔らかい豚肉だ。脂も見当たらぬ。

なんじゃこりゃ!こんな繊細な豚肉料理がメリケンにあるとは!!!

見直したぞ、メリケン!

これで1600円くらいだから、量的にも十分納得がいく。

タレの方には怪しげにみなぎるグルタミン酸の味はみあたらない。

いいなあ、こんな食事があるんか・・・ご飯があれば最高ぞ。

 

とかなんとか言いながらも

結局食べちゃう日本食・・・

日本食材ばかりを扱うスーパーのフードコートにあるお店で

そばミニカツ丼セットを思わず注文してしまった・・・

冷凍の美味しいそばと、半熟よりやや生気味にとじたカツ丼が

なんともはや・・・

卵はやっぱり生がエエんですわ。

セットで700円くらいだから、日本なみの価格。

ちょっとカツ丼にはてこずったようだが、まあ許す。

でもやっぱりもたれた・・・

カツ丼はどうして長男の胃にいつも挑んでくるのだろうか・・・

 

飛行機が遅れて、空港の安ピザとか

チェックインしたら、10時をまわって店がほとんどしまってて

ドライブスルーくらいしかなかったり

二週間、かなり過酷な食事を重ねてきたのでさすがに腹が出た。

車で移動だったので、目に見えて足がなまっていた。

でも、そろそろ腹が元に戻って、ベルトにも余裕が出てきて

また日本のみなぎるグルタミン酸に苦しむ生活がもどってきた。

母親がもたせてくれたアラメの佃煮、なぜか人気のない

お歳暮のわざとらしく網がついたハム、社員食堂のそばのだし

でも、夕食は僕のものだ。

高いけど苦味が美味しい季節はずれのゴーヤも

先っちょが昔の辛さをすこし残している大根も

水っぽいけど一応木綿のお豆腐も

冷凍だけど格別安いヤオチューのお刺身も

戻すのが面倒なこうやどうふも

自分の薄味で食べる事ができる。

 

やっぱり民族それぞれ、生まれ育って歴史を刻んで

体を作ってきたのだから、本国がぴったりなのはいうまでもない。

でも、何でもグルタミン味覚、脂という点では日本はまったく駄目である。

日本に帰ってきて、なお更食べ辛くなった日本の味もある。

 

ともあれ

二週間もメリケンに行けたのは、多分一生の思い出となるだろう。

次は社費じゃなくて、きちんと自分で高飛びせねばなるまい。

グルタミン酸食の無い国とは・・・多分、日本、中国、韓国以外は

案外どこも使っていないのかもしれぬ。

さて、釣った魚を美味く食べられて、現地食も美味しそうな国か・・・

どこへいったもんだか。


ではまた