いかがわしき釣りは

  はたして、イカがなモノか?

 


大東での今年初めての朝、西港へバイクを走らせた。

特製ピンクのワサワサ付きルアーを使って噂のカンパチを狙うためだ。

何の手応えもなく海から上がってきたルアーには、ふと気付くと

謎のプルプル体・・・いやコリコリ体ともいえるほど

軟骨のようにコリッともしていた。

プルプルだけでは針にかからないのである。

このあと、号外に掲載した一口サイズのプルプル体以外

何もない状況であった。

 

昼、大潮の引潮も手伝って、万年シケ気味である島の東へ行くと

チョットだけ入れる一級ポイント、実釣場を確認した。

どんなルアーを引いても反応がなくてあきらめたとき

信頼のない、でも不思議な力のある鮎カラーのルアーを

投げると、ドデカイ白身魚・・・見たところフエダイである。

 

通常ならヒラアジ類が追うのだが、水温が21度前後と低く

逆に微妙に北から分布するフエダイなら元気だろうと思っていた。

何年か前、ここで同じフエダイの四キロを上げているからだ。

結局最も信頼のないルアーを投げ飛ばすという

ジンクスを利用して釣りをすることに。

大きなシャクリから小さなシャクリにして3回・・・

薄黄色いボディがボワンと水面のポッパーを食って行った。

 

久々の根魚の引きを、つい堪能してしまったのであった・・・

すぐさま足元の先にある岸際の岩場へ突進し

ズリリと根ズレの手応え「ありゃりゃ・・・油断したわ」

待てば何とかなるだろうと思ったら、ルアーが開放されたのは

根とお魚双方であった。

ま、5700円が返って来たからヨシとするか・・・。

根魚とわかっていながら糸をシャカリキに巻かなかった

長男痛恨のミスである。

 

気をとりなおし、一瞬のチャンスだった潮位が

そろそろ足元から追いたててくるので納竿。

 

夕刻

うーむ、じゃあまあ、どうせ他の磯に行っても釣れそうにないから

漁港でイカでも・・・と、これまでにない180度柔軟なというか

大変気合の入っていない、長男にアルマジキやわ頭な判断である。

でも、地元の腕利の方をよそに釣れちゃったのである。

それも一発で・・・。

水中で墨を吐かせちゃったから、もう次は釣れない。

墨を撒き散らしてごめんなさい・・・と小声であやまってから

サッサと帰ってお食事である。

伊佐食堂にて、モズ博士Tが調理してくれた

実に恐れ多いお刺身である。

  

それじゃあということで、次の朝もやってみたら

あっという間に2杯、しかも一投め、二投めで

連発である。

だが、後が続かない・・・なぜか・・・それは後述へ譲る。

 

アオリイカは袋状の体の部分が25センチくらいあり

イカにしては引きが強くて楽しいからつい手がでてしまう。

それにコリコリと美味しいミミ(ヒレ?)の部分も巨大で申し分ない。

これは、アオリイカでも最も小さめの種で

「クワイカ」ではなかろうか。

体長(袋状のボディ)30センチ弱ぐらいのしか見たことがない。

(アカイカ、シロイカ、クワイカの三種が知られ、形はそっくりだが

大きさや、産卵方法などなどアレコレ違いがあるらしい)

 

さあ、じゃあ今度は昼でも釣れるんだろうか?と

「ピーカンでも釣れるのかイカがかな実験ん〜」

とシャレ込んで出陣・・・10時が過ぎ、十分陽が高くなるまで

バリバリ岩というところで、写真撮影してから、余裕で漁港へ。

 

それでも釣れチャウのであった、しかも三連発!

(これはしばらく投げた後の連発だが)

食いついた一匹のエギ(餌木)を複数のイカが追跡して

奪おうとするのだ。

あわよくば、二杯掛け!を試みたが、奪われまいとする

意地とパワーは凄まじく、墨を吐きまくりながら

結局他者の追随を排除した。

が、もちろん長男の針からは逃れられない。

ものすごい勢いで大量の墨は吐いたものの、

興奮冷めやらぬ群れは四杯のうち、三杯まで釣れた。

三匹とも上がってからも墨は吐きまくってた。

釣られたことが、よほど悔しいのだろうか。

この透明な、薄緑のボディカラーがエメラルドグリーンの

水中で踊る姿をお見せしたいほど美しすぎる。

墨は二種類吐く。

手前のモヤモヤ系と、多分大型の魚類やサメにでも狙われた時に

身代わりとして吐き出す体と同じ大きさの袋状の固まりの墨。

右上に濃い目の固まりで漂うのがそれだ。

 

太平洋の真ん中の、コンナ静かで、コンナ美しい漁港。

美しいイカ・・・

結局、またしてもT博士に特製バター焼き、お刺身など

お料理をお願いしてしまった、無礼な長男であった・・・。

しかしウマかったの何の・・・。

ちなみにタップリのバターで焼くだけの

究極的シンプルかつ最高/最幸の美味調理は

研究拠点の一つである天売島じこみなのだそうだ。

アツアツのうちに一口大に切って

イカ墨とバターをタップリからめて、研究室の皆でほおばるのだ。

たまらん!長男とろけそうだぞ!並であった。


さて前述、朝の二連発のあと、シューチュー力を失ったのは

珍しいお客さんが来ちゃって、イカがいなくなったからだった。

昼間にこの色のエギを堂々と使う長男もイカがかとも思うが

オレンジ好きだからコレでいいのだ。

それより

このエギがすごく気に入ってしまっているミノカサゴさんも

いかがなものだろう。

 

次週は、釣り以上に気合が入り勝ちになってしまい

もっと素早く動き回る被写体撮影にまで燃えてしまう

道を外れてしまった長男に

そこはかとなく、ご期待ください。


ではまた