親子がそろうということは、こういうことか・・・

夏休み後半戦・・・


暑い、横浜のワビシイ我家よりは涼しいのだが

関西方面は湿度が高いのか、気温よりチョッと暑く感じる。

まあ、最近、妙に猫も増えた、向かいの犬牧場もなければ

窓も一つしかないといった環境でもないので、気は楽だ。

 

さて

ボートで釣りに行ったキスだが、目の前に広がる伊勢湾は

学生だったころ、走りこんだり、プール代わりだったりと

親しんだ海である。しかも遠浅で、以前からキスは釣れた。

オヤジ殿は一時間ほどの南島町方面に行こうと言ったが

やはり地元で釣れることが大切だ。

 

なぜ?

 

釣りと言うのはハプニングがつき物である。

釣りに関して素人ではないイイ年した二人がそろっても

釣りにくい状況や、釣れない事もあり、時間が必要なのだ。

地元なら、夕食準備時間を残してギリギリまで頑張れる

これが大切なのだと、長男は判断した。

ちなみに、オヤジ殿は次男だった。

 

果たして前回、一度目のボートは、いわんや雷雨の迫る

イナビカリに阻まれて釣りが遅れ、あまつさえ

まだ餌のたっぷりある時分に、雷雲が近づいて撤収した。

 

オヤジ殿は雨男である。

長男は大東通いを続けるうち、台風男に進化した。

夏休み後半を彩るのは、なんと台風である。

けれども、意外に空は青く、ちょっと雲は多いが

至って穏やかである。

飛行機雲が、台風が呼んだのか?下の雲に影を落とす。

 

次なる長男の決断は

「投げキスで行こう」というものであった。

前回よりも潮周りは悪い、が、しかし、大切なのは

「自ら投げて、キスを探す」ことだと信じている。

しかも陸っパリ(陸からの釣りの意)ならば、臨機応変だ。

止めるも再開するも、移動するも自由自在である。

ゴムボートをたたんだり、車に積んだりする手間はない。

 

 

だが、今回の敵はそんな甘いものではなかった。

 

そう、ジェットスキーである。

 

ジェットスキーの連中はサーフィンの連中より

遥かにタチが悪い・・・。

サーファーは基本的に年中海水浴と同じであるが

ジェットスキーときたら軟派な割に横柄だ。

●ジェットスキーは軟派なので、発進は緩い河口が多い

●一度海に出たらカッコ付けたいので走り回る

●爆音は魚を散らす

●混合燃料の缶をばら撒いて帰る

●釣り人(といわず周囲)のことなど気にしない

といった馬鹿モノ三昧が多くて、どこでも鼻つまみである。

まあ釣り人も遊びなので、譲ることもあるが

馬鹿モノも知るべきである。

時折、長男のように、命がけで釣りをするヤツがいる。

投げ釣りの場合、PEラインというのを使うのだが

これが爆走するジェットスキーの搭乗者に引っかかると

なんと、刃物になるのだ!!!

まあ、俺は知ったこっちゃない。

投げる人の指が切れるPEことハイテクライン

有頂天になったジェットスキーのアンちゃんを切ってしまうのだ。

まあ、それでも長男は知ったこっちゃない。

こだわる人ほど細糸で、刃物も鋭いんだ・・・。

おそらく、良識あるこだわりの投げ釣りを愛する方々は

そういった海上高速暴走物を避けて

おだやかに釣りを続けるために、仕掛けをあげているだろう。

でも俺は避けんけんね・・・。

立場が同じだから、俺も横柄でいる、休日だからな

長男もお休みだ・・・というわけだ、知らんぞ。

しかし、漁師さんは別だ。

お仕事だから必ず譲る、これが人間と言うものだ。

わからんかなぁ、ジェットスキーの者どもよ。

 

でもまあ、あまりにもウルサイので

本来釣りをするはずの浜辺から移動して波止へ。

釣れないので帰る人を尻目に釣り再開。

確かに釣りにくいが何とか釣りになった。

形は出ないから数で勝負!

餌釣りでなければ、絶対ありえない精神構造に変身だ。

なぜか?

キスは餌をイキオイ良く飲み込むので、針をはずそうにも

えらだの胃だのにかかっていて、文字通り必死なのである。

逃がしても死ぬのだ。

そのぶん、キッチリ調理して、美味しく食べるから

許してくれよ・・・と長男はオヤジ殿共々天に祈るのだった。

その祈りは無駄ではない。

生涯のうちにこれほど美味しいキスは他に無い。

小さいながらも、なかでも大きいものを選んで

オフクロ様がしっかりお刺身を作ってくれた。

魚の香り以外に、何のにおいも悪臭も無い。

大自然の味わいだけがそこにある。

つづいて、大好物のキス天だ。

ルアーでは千載一遇でしかかからないので

キスなど食べられるのは餌釣りでしかありえない。

(※昔、和歌山で一度砂浜でナゼか掛けたことがある・・・)

 

もう、でえらウマである。(どえらいウマイの意)

小さいのでヒラキ状態での天ぷらだが味は超一流だ。

しかも、ハフハフの揚げたてである!

釣りたての揚げたて!、こんなの店で食えるか!?

という逸品であった。

伊勢の実家に、伊勢湾に大感謝の瞬間である。

小さくとも、こ〜んなに美味しいお魚が居るのだ

投げ釣り恐るべしである。(釣果は苦しかったが・・・)

 

ともあれ

帰りは元から週明けだったから、台風をうまくやり過ごせた。

これも、台風男としての長男の台風予知能力だろうか?

この秋はなんとかルアー一本でがんばるぞ〜っ!と

上手いキスをココロに秘めつつ

小さくコブシを握りシメる長男であった・・・


ではまた