釣れない釣り師、チカラをもらう・・・だから記事も長めだ・・・


踊る空手家Oシロ氏、ボーズ釣師のH氏は、もう帰ってしまうのだ。

(H氏は明るすぎだが、顔は黒いぞ)

前日、Oシロ氏いわく「大物を狙ってください!」と。

しかし、前も述べたが、大物と言うものは、日本男児が言うからには

条件などつけてはならず、ホオジロザメを狙うべきだ。

というのが持論である。

しかし、どうにも沖縄の人も内地の人も

100キロ以上のミーバイ(ハタ)かイソンボ(イソマグロ)

もしくは50キロ以上のガーラ(ロウニンアジ)を狙ってしまう。

なぜか、一応安全に?釣れる魚を狙う。

大物というからには限界を設けてはならない、それが日本男児

いわんや武士道というものだ。

それとは別に、大きな魚は肉の繊維が太くなるので

苦労の割には大味で不評。

食べさせガイのない魚となってしまうわけで

実に不本意な釣果であるため、長男としては釣る意義を感じない。

食べ難い魚を釣るべきではない、というのが理由で

釣って美味しい魚こそ釣るべきだ、というのが長男としての

「根本方針」である。

 

空港の待合室に見送りに行った時、Oシロ氏が

「ガム、どうですか」とすすめてくれた。

一枚のなんだか懐かしい黄緑の「WRINGLEY'S DOUBLEMINT」であった。

噛むごとに爽やかなミントが心を包み込む。

ふと、なにか心にふく南風のようなチカラをもらった気がした。

 

今回の釣りのテーマの一つに「内地の仕掛けで釣る」というのがあった。

例のショーモナイおやじギャグ的な「天龍の竿だから天竜川で試す」のだ!

といっていた、あの竿が、テストされぬまま島にやってきていた。

細い糸、ひときわコダワリのレバーブレーキリール

(普通はテンションによって自動的に切れる前に糸が出るが

 レバーブレーキは使う人の意思によって糸を出すかどうか瞬時に決める)

心意気とは別に、大東の魚達にとっては、ヘナチョコな仕掛けである。

 

だが、こういった不本意に限りなく近い仕掛けを使うと

とかく極めて野性的な魚が掛かってしまうものであった・・・。

 

果たして、二人を見送った後

すぐさま北の磯「モトヘイ」を目指したがダメ。

東風は北の磯にもずいぶんキッチリと回りこんでいる。

まだまだガムを口にしながらバイクを走らせるが

北港ですら、ウネリが乗り上げてきて危険である。

仕方がないので、漁港を目指した。

漁港の外側は、もともと伊佐釣場という一級磯であった。

東から北に至ったシケが、この北西の磯にも回り込んでいるが

漁港のコンクリート護岸が沖向きの磯際まで伸び、快適に釣れる。

荒磯にくらべたら、かなり楽チンで、長男にとっては憩いのひとときだ。

 

ついでに、小笠原を思い出し・・・

「こういう釣れないときって、信頼できないルアーが釣れるんだよな」

と発売当初から安売りされていたルアーを使っている。

 

すると・・・

 

「ガンっ」・・・えっ?

 

根掛かり(地球を釣った)的な感覚だが、水面近い。

やがてグイグイと深場へ向かって引きずるパワーが竿に伝わる。

 

竿は内地用で、すぐに限界を迎えてぐにゃりと曲がった。

重々しい引きの強さに、長男の脳は真っ白で

コダワリのレバーブレーキリールのレバーを緩める余裕もなく

竿を支えるのに精一杯だ。

竿もブレーキも右手で操作しなければならないが

ブレーキは中指で、そのほかの指は竿を支えるはずであったが

中指はチカラのある指なので、つい竿を支えてしまって

それを緩めてブレーキを滑らせるという動作はできていなかったのだ。

 

それ以前に、本来ならば、魚が掛かったら

ブレーキも竿も引き絞って「ガツン」

アワセ(針を刺さらせる竿の激しい引き寄せ動作)を

入れるべきであったにもかかわらず、頭が真っ白になっていたのである。

 

竿が軟弱なので、糸を出すのを忘れていたが、糸が切れずに助かった?

わけではなく、掛かってこの間3秒。

「パンっ」

何かがハジけた!

 

見れば、大切にしていた、内地最強のレバーブレーキリールの部品が

吹っ飛んでいる!!!

バネ類とステンレスのカバーが飛んだ!

 

全身から血の気が引いていた。

これまで、10キロの魚の強烈な引きに耐えてきたリールが壊れているのだ。

 

・・・全身に言い知れぬ緊張が走る・・・

 

手もとを見れば、糸が出放題になっている!

ただ

良く見れば、ベール(糸を巻く部品)はまだリールにくっ付いている!

 

「まだリールは生きているんだ!!!」

 

詳しく見ている余裕はないけれど、部品はリールに付いている

だから、まだ、魚を釣らなくてはいけないのだ!

などと、思いつつ、ベールを返して、糸を巻き始めたのであった。

 

白身魚のような引きである。

深場に走っては、止まる。

うれしい、白身魚だとすれば、狙い通りだ!

しかし、重い、重すぎる・・・。

良く出会うヒラアジであれば、走り去るはずである。

 

壊れ去ったリールで、何度か糸を出し、20mは沖だが魚が浮いてきた。

白い!白い魚だ!

 

良く見ると、なんと予想外のヒラアジである。

本来なら走り去るはずのヒラアジが、柔らかい竿のためか、足止めされて

違った引きを味わわせてくれていたのだった。

 

白いと言うのは、美しい白銀ということだ。

何となく懐かしく、しかし、疑わしい。

だが、見るからにロウニンアジである。

釣り人憧れのロウニンアジ・・・美味しいロウニンアジであった。

サイズは小さいが、道具の非力もあって引きの力が一段と強く感じる。

 

寄せては見たものの

スルスルと長いギャフ(クック船長の右手にあるようなカギ)を伸ばし

掛けようとするが、魚がそれを見て鋭く反応し、水中へ逃げ込んでしまう。

何度やっても逃げられるのだ。

こんなことは初めてだ・・・。

 

そのころ、島に工事で来ている人達が、仕事を終えてイカ釣りに来ていた。

その人達が、ギャラリーと化し、僕の釣りを見ていたのだ!

ギャラリーがいてくれると、妙に嬉しいのが釣り人なのだが・・・。

その中の一人が、長男のヘッポコなギャフ扱いを見て

「網持ってたわ!」

と走っていった。

 

6キロ以上の魚にはギャフは使えるけれど

今度のヒラアジにはちょっとデカ過ぎる。

 

しかし、待つことの長く感じること感じること・・・。

 

さすがは大物の島、コダワリ長男の意図を見抜いて

「はいっ」と手渡してくれた?

そう、

コダワリの釣り師は決して人にタモ入れ(網を差し伸べてくれる)ことを

良しとしないのを解っているのだ。

だから、あえてワザワザ持ってきたタモ網を手渡してくれたのだ。

だが、タユンタユンの内地の竿で南大東のヒラアジを支えた体では

もはや長いタモ網は操作できないので、お願いしたのであった。

 

一発でタモ入れは成功し

「重い、重いわ・・・」

苦笑いするイカ釣師の顔があった。

(ボーズ脱出の大恩人だ)

 

見れば、それは美しい白銀の、メスのロウニンアジである。

針を外そうとするとポロリ・・・ととれた。

何度も何度も水面に追いつめては潜られていたはずなのに

外れなかった・・・良かった・・・。

針はわき腹の柔らかい皮の部分と、硬すぎる口に掛かり

実は口の部分に刺さることなく、ただ引っかかっていただけだった。

釣りはやっぱり運ですなあ・・・。

 

信用できなかったルアーも、一瞬にして信頼のルアーとなった。

もうボーズではない・・・そう思っただけで顔がユルんでるぞ。

 

次の夕刻。

ロウニンアジは一日寝かせた方が美味しい。

刺身の付け合せは?

 

釣れた場所では、あまりやりたくない・・・

意に反して、シケの状況から今夕も同じ漁港にたどり着いていた。

ただ、外向きの磯では釣れないと判断し

またしても日課としてやってきたイカ釣師たちに混じり

今度は僕もイカ釣りに挑戦!

多少デカ過ぎと言われたイカ餌木(イカ用ルアー)を武器に挑む。

こちらのイカ釣師は餌木を小刻みに揺らしてイカを誘うのだが

内地では違う。

内地では、イカは沈んでいく餌木に追いすがり、抱きしめてしまう

というのを知っていたから、そうしてみたら

釣れてしまった・・・ラッキー!

こうして、ちょうど良い刺身の付け合わせが無事釣れたのである。

 

だが、付け合せは、ホウガイな付け合わせとなるのだった・・・。

 

宿に帰り、調理をお願いし、出てきたのは?

ナント、二食分に相当する、ロウニンアジの刺身、一匹分のイカ刺し

そして、タップリのロウニンアジの煮つけだ・・・。

(オプションだけでも盆いっぱいだ)

しかしながら、昼飯を抜いて活動する長男にとって

カモとなってしまったのであった。

 

何はともあれ

ウマイ!イカは一時間前に釣れたもの

そして、一日置いてもまだ心地よい歯ごたえがしっかりとし、

しかし旨味もパワーアップしたロウニンアジ・・・たまらんですわ。

(正しい夕食メニュー加わる・・・)

 

良く考えれば・・・

昨年釣った58cmのカスミアジがプリプリであったにもかかわらず

3キロであったが、今回のは60cmで4キロ強・・・

太い・・・太過ぎる・・・強いはずだし脂がのり旨いはずだ。

(以前56cmで4キロというのがあったが、活発な回遊魚ではない)

 

50分後・・・あきれる宿の方々を尻目に、完食!!!

(ナゼかモノクロ)

秘密にしていたが

「お見合い」の席であれば

「ご趣味は?」と問われれば

実は「大食い(おおぐらい)を少々・・・」と答えられるほどの

長男でもあったのだ。

 

気がかりなのは

もはや、この後、魚は一匹とて釣れない。

一体、大東に何が待ちうけていると言うのだろう・・・?

しかし、長男にとって、まだまだ試練は続くのであった。


ではまた