今年も特に何もなく、ちょっと寂しいようなほっとしたような師走を迎えつつ・・・


二日間の強い西風、そして、その朝風が変わる。

週末に千載一遇、絶好のヒラスズキ日和がやってきた。

もうどうせ仕事が手につかないので、仕事中にケータイで船を予約。

案の定、特2等客室は空いている。

予約番号00555、特2等の船賃は5550円と行け行けゴーゴーの縁起ぶりだ。

 

今は幸い冬至に近く、朝が遅い。

条件としては良いが、釣り場に行くまでに、また迷って

朝薄暗いのに藪こぎして、人様の庭先をこっそりと横切って道へ出た。

波は思ったほど高くなく、2.5mくらいしかないので、波がそれほど広がらないが

なんとかなりそうだ。

 

しかして、ルアーを投げてビックリ・・・。

藻だらけであった。

瞬時にモーいやなどという軽妙で切れの良いオヤジギャグが口をついて出る。

たてつづけにモーやめてとも言ってしまうのが悲しい。

しかし、ギャグの寒さ悲しさ以上、絶望的に藻が多かった。

 

だが、そんなことも去る事ながら、この磯はかなり気分が良い。

一月にヒラスズキが釣れたこの磯だが、今回はイソギクが美しい。

もちろん、太平洋の向こうに富士山も完備しており

まさにニッポンバレを画に描いたような磯である。

釣れないのは分かっていても、メイッパイ投げまくる。

投げまくるうちにまた・・・こりゃついでに爽快掃海じゃあっ!などと

更に切れが良い。

 

なにをどう投げてもだめなので、良い汗を流した後

磯の上にある見晴らし台で、ちょっとダンデイな記念撮影。

背負子と、そこに乗せた水色発泡クーラーが特にダンデイだ・・・。

 

急いでバス停に向かったけれど、一時間後しかバスがない・・・。

装備が10キロを上回るが、そうもいってられない

仕方ないので、5キロ以上歩いて岡田港に到着。

奇しくも、あの快速珍船アルバトロスが富士山に向かって出港するところだった。

うーむ、一富士、二あほおどり、三ぼーず・・・と言ったとか言わなかったとか・・・。

 

通常おだやかな日を選んでカンパチを釣ったりするので

元町港が出帆港となることが多いのだが今日はヒラスズキ日和でシケだから岡田港だ。

ここ伊豆大島の定期船はこの二港を状況により巧みに使い分けるのだが

これが路線バスのタイミングや釣る時間の鍵となるのである。

しかし、不況の影響で、バスの本数が減り、よくよく計算しないと

帰れなくなるので、磯へ行く前に必ず帰りのバスをチェックするのだが

今回はうっかりしていたというわけだ。

 

元町港にも岡田港にも行きつけのお店がある。

喫茶&お食事どころ「一峰」だ。

元町だと、サザエ丼があり、例の名ばかりの湘南のお店より美味しく安い。

岡田はサザエ丼やトコブシ丼はなく、いかそうめん丼があるのだ。

すっかり忘れていたが、このいかそうめん丼が格別である。

アシタバらーめんなどと変わらぬ630円(税込み)で

らーめんよりよほど価値がある。

どうやっているか分からないが、鮮度の良いイカをあまがらいタレに漬けてあり

それをタップリと敷き詰めた岩ノリの上に、これまたタップリとのせてある。

沖漬けというのがイカでは一般的だが、それよりちょっと薄味で

その真ん中に張りのある卵の黄身が静かにたたずんでいるのだ。

(沖漬け:イカが生きているうちに醤油にドボンと漬けちまう残酷で美味い料理)

これを、お店のオバサンの言うとおりにかき回していただくのである。

思わず、断酒中なのにビールを飲んでしまった・・・。

(そりゃもうたまりませんわ、この味・・・)

通常なら、隠れた名料理として雑誌で紹介されても良さそうだが

イカンセン、ご飯がいけない。ジャーで保温したぬるいご飯なのだ。

しかもちょっと渇き気味。いつ炊いたか分からないご飯であった。

これが炊きたてホカホカであれば、もう何も言わずにもう一杯注文したいところ。

 

仕事の疲れ、寝不足両方で、待合の座敷に入ったら即ひる寝してしまう。

普段は公共の場で寝ることなどできない、繊細な長男であるが

流石に寝不足のうえに、荒磯で竿を出し、更に歩きたおしたので

繊細さなどはどっかへ飛んでいってしまっている。

時折、自分の強烈なイビキで自ら目覚めるが、すぐ寝ついてしまうのだった。

そうとう来ている状態だ。

勢いづいて、乗船しても更に寝つづけたのだった・・・。

 

ボーズではあったが、心地よい疲れと、眠り、ニッポンバレ

久々にスカッとする休日であったが、帰りの道行きは、流石に師走の横浜の浜通り

山下公園に向かうカップルを見るにつけ、ちょっとだけ寂しい長男であった。


ではまた