年休昇華は雨、週末はやっと晴れたら


昨年はいろいろあって、遊びもせず、釣りにも行かず

ごろごろ、うろろーんと過ごしたので、休暇が余ってしまった。

あと二日取らなくちゃいけないが、もう三月も終わり。

で、仕方なく取得。

どうしようもなく雨。

それに、ミゾレ混じり。

かねてより、台風男に襲名しているので別段驚くことではないものの

あまりに冷たい雨は、台風とも雨とも約束がチャウじゃないかっ!と思いつつ

ちょっとした晴れ間をついて東急ハンズに出かけた。

というのも、この半年間、悩みつづけていたことがある。

今使っている付き合いのながいながーいリールがどうもイカンのだ、最近。

メンテナンスは完璧なのだが、ゴリゴリとどこかで音がするし

一般工作機械用グリスを潤滑に使ったところ、これが粘っこくて粘っこくて

リールの回転が重くなってしまったのだ。

(愛用のステラ)

そろそろ引退かな・・・などと思いつつ、代わりのリールはといえば

昨年、渋谷であまりの安さに衝動買いした大型リール、エンブレムがある。

コイツが悩みの種で、どうも、安いせいで丈夫じゃないのだが

普通に使うなら問題ない。が、僕は南大東専用として使う。

磯のルアーでハードに使うと、どこがイカレルかというと、ギアとスプールリングだ。

ステラも、何百万回まわしたか知れない。この釣りはギヤを超酷使するのだ。

スプールリングは、糸巻きの前端の部分で、ルアーを投げるとき

ここを勢いよく糸が擦って出ていく。

その部分を磯に竿を置いたときに、擦ってキズが入るのだ。

一日何百回も投げつづけるので、自ずと糸は切れやすくなる。

ステラでは判りにくいかもしれないが、上の写真の左端のほうの

金色の部分である。

なにしろ高級なステラはここがジルコニアだから、キズ一つ無い、というか

ヤスリでも傷がつかないくらいだから付けようが無い・・・。

今度のは安くて、磯投げ用ということで、割合ソフトな作りなのだ。

さて、

普通なら糸巻き部分をそのままステンレスかなんかで作りなおせば?

ということにもなろう。が、それを作ったら安く買った意味が無い。

所詮ギヤだって普通で鍛造でも削り出しでもない、鋳物である。

要は、年に数回使うだけだから・・・である。

しかし、ただ安いからだけで買ったわけではない。

コイツは特別、ウイやつなのである。

(ウイ=愛い、通常悪代官が使うが「もそと、ちこう寄れ」と組合せることが多い)

通常我々が手にできる高級リールを含めても、おそらく世界で3番目の

高速巻き上げ能力があるのだ。

(ハンドル一回転で122センチ、普通は70〜90、先のステラが109)

しかも他は全てステラと同じ高級機種だから実売価格で6倍くらいする。

(安売り時、エンブレムは1万円チョット、高級機種は5万円後半〜6万円強)

だから、安くて早いエンブレムを知恵と勇気で安くチューンナップしなくては

長男の名が廃ってしまうわけだ。

ずーっと悩んだものの、要は磯に直接コンタクトしなければ良いわけだから

 @置く場所に座布団を置く

 Aそーっと置く、もしくは竿をどこかにコッソリ立てかける

  (堂々と立てかけても良いが、コッソリのほうが保護しやすい体勢だ)

 B磯に触れないようなガードを付ける

 C磯に届かないような細工をする

 Dやっぱりあきらめて、スプールを作る

といったあたりがアイデアの集約であった。

しかし、大物がかかったり、気が動転した場合@Aは無理だ。

Bゴッツイガードを付ければ重くなるし細工も難しい。

Dは断じてだめだ、あきらめるわけにはいかない、長男である以上。

したがってCであった。

当たらなきゃ良いジャン・・・

つまり、人間で言えば、ガケっぷちに立ったとしてもそれだけじゃ死なない。

落ちさえしなければ、住めば都にも、イヤよイヤよもイイのうちにも・・・

といった可能性もあるのではないか。

そして悩みの真相は実はそういったアイデアにあったのではない。

まずは完成した姿をあらためるに・・・

糸巻きの後ろにある雨どい素材のようなグレーの板がそうだ。

竿を前に傾けてもスプールは床に当たらない、確かに当たらないのだが・・・

この、なんというか、シャンプーハットというのが昔あったが

言うなれば「磯ガリガリハット」になってしまったのだ。

この名の恥に匹敵するかそれ以上のカッコ悪さである。

デザイナー歴十ん年、脂もノリノリだが加速しすぎて、いまやハゲゴロという

35歳を迎えんとする長男究極の答えがこれとは・・・・・。

だが効果のほどは、黄金週間にテストだ、決してあきらめたわけではない。

確かに、「平たい」磯ならば・・・きっと大丈夫だ。

擦れずにスプール先端が保護できるハズである。

金属製につくりかえて、ミーリング加工*でもすれば

そこそこカッコ良い「メタル磯ガリガリハット」に

できるはずだ・・・・・・。

(*ミーリング加工、軽量化やデザイン的にあける沢山の小さな穴)

一歩間違えば、煮こみ料理に最適な落し蓋風だが・・・。

とりあえず

長男デザイナー2001年初のアイデア限界がこれであった。

磯を転がらない様に10角形にするとか、色も派手目にするとか

といったアイデアもあったが、10角形ではスプール端が下に近づくし

色はラジコン屋が見つからず、東急ハンズではこれしかなかった。

ラジコンのバンパー用素材ならもっとカラフルだったものを・・・。

脱着も大変で、外さないとカサバる上、取っ手もまともに畳めないのだが

まあ、そのうちなんとかなるだろう・・・。

あんまり、天気の悪い日は工作しない方がよろしいのだろうか・・・。

 

週末は、悩ましい雨の工作日和とは打って変わってウララに晴れた。

たまっていた洗濯物を片付け、冬布団のカバーもしっかり洗った。

サラサラとやさしい風が洗濯物を揺らしている。

はて、このウララかな日曜の遅い昼食をどうしようか、と思っていると

とりあえず出汁が作りたくなった。

最近、出汁にハマっているのだが、変かな・・・。

陽の光さしこむ本格春日和の部屋で、昆布を水でゆっくりともどす。

僕は昆布は絶対に洗わない主義であるので、そのまま鍋にGoである。

食糧庫である、とある引出しには1.9ミリの太目のスパゲティが入っている。

いつも一キロ買うので、年初からある気がする。

冬場はどうしても、うどんとそばが主流でパスタは疎遠であった。

しかし、棚にはイタリアントマトの缶詰めもしっかりとあるじゃないか

が、今もどし中の昆布の立場は・・・・。

もどったところで、今度はじっくりとトロ火で沸騰しない程度に加熱する。

そろそろ小さな泡がブツブツ言い出したら火を止め、昆布を取り出す

そしてちょっとだけ加熱してから火を止め

味の出の良いムロアジ&サバ削り節と

香りのカツオ削り節を3:2ぐらいで加え

5分待つとヨロシイ出汁が自動的にとれるのだ。

(取り出した昆布は、すぐにちょっと醤油をたらして食べると美味しい)

沸騰させない、これが美味しい出汁の鉄則であり

「ウララかな日曜午後」という大切な時間を費やす価値のある

充実した出汁の取り方だと信じて止まないのだが

格別にそこまで力んで大げさに考える必要はないだろう。

さて、この目の前の素材でできるもの、ウーム

直球だが、「日曜午後の遅い和風トマトパスタ」しかない、と決断。

名前は長めだが、やにわに考え付いたにしては上出来だ。

麺をゆでる多めの湯を沸かしながら、

とりあえず缶のトマト半分をスプーンでしっかり切り崩して

(出汁以外は極力手抜きで美味しく・・・)をフライパンに空け

加熱しながら、出汁を1/3カップくらい入れる。

和風香辛料として許される範囲と思われる

コショウ、ガーリック、一味唐辛子を適量(多めが好きだが)、

醤油小さじ1杯程度を入れ、中火で出汁を煮て飛ばす

水分が飛んだら、また1/3カップを入れ、煮切り

ペースト状一歩手前、茹でたての湯を含んだ麺と絡む程度にしておく。

多過ぎない程度の塩でゆでたアルデンテ(ちょい芯あり)の麺を

強火にしたトマトソースに絡めて仕上げにオリーブオイルをひとたらし。

ザッと絡めてソースが麺になじんだら出来上がりだ。

出汁以外は手抜き三昧だが、缶詰めとはいえイタリアントマトの

濃厚な味わいに、しっかりと濃い目にとってさらに水分を飛ばして

濃厚になった出汁がぴったりマッチして、実に和風である。

え?どこが和風か?

素材そのものの味わいがそれぞれ生きているから

和風であるのだ?そう思うことにした。

バジルとか、オレガノを加えたくなるが、ぐっとこらえるべし。

やさしい醤油や、出汁の味わいが、キレのある(強すぎる)香りで

吹っ飛ばされてしまいやすい。

パスタはすべからく、ソースをかけていただくのではなく

絡めて軽く火を入れるのが好みのやり方だ。

冷めてからソースと絡んでもチットモ美味くない、そう思うからだが

まあ、自由だ。創作料理だし、休日の昼下がりでもあるし。

パルメザンはかけてもよいが、やっぱりかけない方が

出汁の香り、トマトの微妙な甘さがマッチして美味かった。

冷やした辛口の日本酒が欲しくなったが、今日は昼の酒はお休み。

昨日の昼飲んじまったからな・・・。

ともあれ、じっくり味と向き合いたい時にはオススメである。

まずは素材の味のわかるシンプルな味わいが日本人の味覚の基本である。

素材を絞り込んでさらにシンプルにし、美味しくする・・・それも和風だろう。

もし、このレシピから絞り込むとすれば、コショウを抜くことだろうか。

夏になったら、路地もの完熟トマトで再チャレンジしたいが

完熟トマトはかなり煮詰めることになりそうなので

出汁はかなり濃い目にとらないとだめだろうな・・・

けど、煮過ぎないでアッサリとした甘味のある日本の完熟トマトを

美味しく絡める方法はないだろうか

細目の1.7ミリの麺が合うかな・・・などと

今から心配してしまったりする、いたってヒマな午後であった。

久々に、ブルーベリーがデザート、目にはこれが効くんだなあ。


ではまた